曽野 政男 さん

足りなかったピースを埋めたのはWMGだった

WMG参加のきっかけは何でしたか?

キャッチコピーの“大人のオリンピック ”という言葉に強く惹かれたのが、大会参加のきっかけです。

私が陸上競技に目覚めたきっかけは、1964年の東京オリンピックです。10歳の頃に壮大な大会を見た私は、オリンピックで金メダルを獲る夢のために、ひたすら競技人生を走り続けました。しかし、私たちの時代にはライバルも多く、オリンピック出場は叶いませんでした。

その後、国際大会でメダルを獲得する機会には恵まれるものの、何かピースがはまらない気がしていました。私の胸のなかに残り続けてきたオリンピックの夢。それを再び湧きあがらせたのが、WMGです。

実際にWMGに出場して、いかがでしたか?

開会式の衝撃は、言葉にできません。全世界の、あらゆる競技の選手たちが一同に集い、開催を祝福する。その瞬間に立ち会えたことで、私の胸の高鳴りは最高潮に達しました。

WMGの開会式は、オリンピックの次の目標に飢えていた私に新たな世界を見せ、未来につなげてくれたんです。

ところで、この開会式は夜に開催されたのですが、私の場合は翌朝レースがありました。はじめはコンディションのために途中で抜けようと思っていたのですが、いつのまにか最後まで参加していました。

深夜帰宅後も眠れず、翌朝も気持ちが昂ったまま。そんな状態で走った結果が、10キロマラソン金メダル獲得です。

金メダル獲得やWMG参加によって、どんな変化がありましたか?

金メダルを獲得したレースを見てくださった企業とご縁があり、スポンサードしていただけることになりました。65歳でスポンサーがつく選手は他にいないと思います。

加えて、WMGに参加したことで世界中に仲間ができました。大会で出会ったあらゆる人々の文字で埋め尽くされたフラッグは、友好の証です。もしも私がオリンピックに出場していたら、きっと選手同士は全員ライバルで、仲間にはなれていなかったでしょう。
WMG2017オークランド大会で出会った仲間と、フラッグサインを囲んで記念撮影
WMG2017オークランド大会で出会った仲間と、フラッグサインを囲んで記念撮影

年齢を重ねてもスポーツを続けるコツはありますか?

シンプルに“継続すること”が大切です。トレーニングの種類を増やしすぎず、やれる範囲で焦らず積み重ねていきましょう。私は今、1番コンディションが良いんです。コツコツとトレーニングを継続してきた結果、近年最高の筋肉量を保持できるようになりました。

モチベーションを支えているのは、WMGへの想いです。体力や筋肉は加齢によって衰えるものだと思っていましたが、想いがあれば、その限界さえ超えられるのだと実感しています。

WMG2021関西への参加を検討している方々に、メッセージをお願いします。

WMGには、参加してみなければわからない魅力があります。参加できるチャンスを逃して、後悔してほしくないですね。そして参加するならば、ぜひ式典や選手との交流を楽しんでほしいです。現役時代は結果が全てで、大会の雰囲気を楽しむ余裕はありませんから。

全ての人に届けたいメッセージは、スポーツは一時期でやるものではないということです。一度辞めて再び始めることも、年齢問わずゼロからチャレンジすることもできます。

私が明るく前向きでいられるのは、ランニングがあったから。そうやって生きてこられた人生を心から幸せだと思いますし、これからも走り続けたいです。そんな目標を持てる人生のすばらしさを、私が走り続ける姿で伝えていきたいですし、何より自分自身で多くの方がその喜びを体感してくれることを願っています。